政府は月内に新型コロナウイルスの感染拡大で中断していた在留資格「特定技能」を取得するための試験を全国で再開する。
国内会場での試験は4月から5月下旬にかけて中断していたが、緊急事態宣言が全国で解除され、6月から東京など首都圏の試験を再開した。主にすでに日本に在留する留学生の受験を想定する。
海外で受験した外国人が合格しても、現在は厳しい入国制限や国際線の運航減少で来日できない。政府は制限を緩和したら希望者がすぐに来日できるよう準備を進める。
特定技能資格は海外での試験合格者に加え、日本で計3年間の技能実習を修了して特定技能資格に切り替えた人、日本国内の試験で合格した外国人が取得できる。試験は日本語試験と業種ごとの技能評価試験に分かれる。
6カ国で実施していた海外での試験は4月に中断した。新型コロナの感染者が少なかったカンボジアは5月21日に介護分野の技能評価試験を実施した。6月から農業分野の試験も始める。フィリピンやネパール、インドネシアでも感染状況をみながら再開する
月内に再開する国内外の試験は特定技能1号に関する試験となる。
政府は初年度に最大4万7550人の受け入れを見込んだが、送り出す側の国の手続きなどが遅れ、実際に20年3月末までに来日したのは約4千人と目標の1割以下にとどまった。
政府が検討する今後の出入国の緩和策でも特定技能資格に基づく来日外国人に関し、第1段階で来日を認める「ビジネス目的の往来」に含める方向で調整が進む。
新型コロナへの感染を判断するPCR検査の陰性証明書や行動計画を提出し、審査を通れば入国時の長期間の待機などを免除する。
国内での外国人労働者の受け入れ機関には海外在住の試験合格者とのオンラインでの面接を促す。すでに日本に在留する留学生や技能実習生で、特定技能の資格に基づいて引き続き日本で働きたいという人への支援策も講じる。