在留資格該当性の基礎となっていた事実に変更があった場合は、在留期間更新期限が経過する前に、在留資格変更申請を行う必要があります。それを放置しておいて、一定の期間そのままでいれば、在留資格は、取消される可能性が生じます。
以下の①②の場合には、入管法上、在留資格該当性を放置したままであったため、取消し事由に当たる場合です。
①入管法別表第1の在留資格(就労系)で滞在する者が、在留資格に応じた活動を、正当な理由なく、3カ月以上行わない場合
②「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の身分を有する者が、正当な理由なく、配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6カ月以上行わなかった場合
たとえば、「日本人配偶者等」の在留資格で滞在する外国人が、当該日本人と離婚した場合は、当該事由が生じた日から14日以内に、法務大臣に届けなければなりません。そして、6カ月以内に他の在留資格に変更しなければ、在留資格が取消されてしまう可能性があるということです。
在留資格の取消し事由に該当しても、実際に取り消し手続きをとるかどうかは、入管の運用によります。入管は、取消事由があると認識した場合でも、在留資格を取り消すことなく、在留期間満了を待つこともあります。
しかし、在留資格該当性が失われた状態が長く続けると、在留状況が不良であるとして相当性の判断で不利と評価され、更新時には、不許可になる可能性が強まります。
したがって、在留期間経過前でもあっても、在留資格資格該当性の事実関係に変更があった場合には、変更申請を行ったほうがよいということです。
在留資格変更許可の要件
①新たに取得しようと考えている在留資格該当性
②変更を適当と認めるに足りる相当の理由(相当性)
となります。
短期滞在の場合の相当性の要件の加重
在留資格更新の場合と同様に、判断要素は、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」において指摘されています。
但し、在留資格が「短期滞在」である場合は、他の長期的な在留資格に変更することは「やむ得ない特別の事情に基づくもの」でなければ認められず、要件は加重されます。
※「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
① 上陸許可基準に適合していること
② 素行が不良でないこと(退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けたことがばない)
③ 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
④ 雇用・労働条件が適正であること
⑤ 納税義務を履行していること
⑥ 入管法に定める届け出義務を履行していること