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主な退去強制手続き②資格外活動違反

主な退去強制手続き②資格外活動違反

就労することができない、または就労活動の内容が制限されている在留資格持つ外国人が、資格外活動許可を得ずに就労することは禁止されています。(入管法19条1項)

しかし、禁止されている就労活動を行った場合が、すべて退去強制事由に該当する訳ではありません。
資格外活動の中でも、①資格外活動を「専ら」行っていることが明らかに認められる者資格外活動違反(入管法24条4号イ)と②「専ら」行っているとは言えない者の資格外活動罪(入管法73条)に分けられます。

資格外活動を「専ら」行っていることが明らかな場合(①の場合)は、刑事事件の判決の確定の要件等は不要で、退去強制事由となります。
一方、「専ら」行っているとは言えなかった場合(②の場合)は、退去強制事由になる場合は、禁固以上の刑(執行猶予を含む)の確定が必要となり、それより軽い刑で済んだ場合は、退去強制は免れます。

資格外活動を「専ら」行っていることが明らかに認められる者の資格外活動違反

「専ら行っている」の判例

(東京地判平18・8・30)(大阪地判平18・1・25)

「留学」の在留資格を有する外国人が、入管法24条4号イの定める専業活動要件に当たるというためには、原告の本邦における学生としての生活及び生活費の支出状況、就労に至った経緯、学費及び生活費の支出状況、本国からの送金の状況及び使途等を総合考慮して、「留学」の在留資格から変更されるべきものであるかを判断するとあります。このケースでは、資格外活動違反にあたる就労活動していた一方で、真面目に勉学にも励んでいた留学生は、退去強制事由に該当しないと判断されています。(東京地判平18・8・30)
しかし、これは、学業と資格外活動を両立していればいいというものではなく、資格外活動により得た額、それが経費支弁方法の中でどの程度の割合を占めていたかなど個別に判断され、退去強制事由に該当すると判断された判例もあります。(大阪地判平18・1・25)

「専ら」行っていることが「明らか」な場合の定義(名古屋地裁平成28年2月18日判決)

「専ら」の定義

①当該外国人の在留資格に対応する活動をすると現に行っている就労活動等の関連性
①当該外国人の在留資格に対応する活動をするに至った経緯
②当該外国人の認識
③当該就労活動等の状況、態様、継続性、固定性
以上を総合的に考慮して、当該外国人の在留目的である活動が、既に実質的に変更されてしまっているということができる程度にその就労活動等が行われることを要す。

「明らかに認められる」の定義

証拠資料、本人の供述、関係者の供述等から入管法24条4号イに定める資格外活動を専ら行っていることが明白であると認められることを意味する

「専ら」行っているとは言えない者の資格外活動罪(入管法73条)

 

平成21年入管法改正により、資格外活動を「専ら」行っていると「明らかに」に認められなくとも、非専従資格外活動罪により禁固以上の刑に処せられた場合も退去強制事由に該当します。
非専従資格外活動罪の例として、資格外活動の範囲を超えて、又は資格外活動許可を受けずに就労活動を行った場合などが該当します。

退去強制事由に該当しない場合でも

 

資格外活動違反は、退去強制事由に該当しなかった場合でも、在留資格更新時において、当然のことながら、不許可事由として考慮されます。

   
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